娘の悔しさを引き継ぐ 〜桶川ストーカー事件国賠訴訟を支援する会
　　　　　　　　　　　　　　　　発足記念の集い挨拶より〜　　猪野京子　　　

　きょうのような雨が降るといつも、あの３年７ヶ月前、娘が殺害された翌日、ひど
い雨のなか娘の遺体を警察まで引き取りに行った時のことを思い出します。
　当時、何度も相談のために通った警察でした。警察‥‥一般の市民が警察に行くの
にはどんな覚悟がいるものか。これも今でもよく思い返すことのひとつです。私たち
一般の市民は、警察には躊躇なく行けるものではありません。娘が元交際相手からの
ストーカー行為が心から恐い、危ないと感じたからこそ、私たち家族は警察に助けを
求めたのです。
　それなのに、警察は動いてはくれませんでした。何度か警察に行き、「小松和人に
接触してください」「捕まえてください」と訴えました。けれども動いてくれないの
で「どうしたらいいでしょうか？」と聞いたら「告訴を出しなさい」と、警察が言っ
たのです。
　被害届けとか告訴という言葉を、私たちは知りませんでした。
　娘は、それで家族が助かるならと、辛い思いをして正直に正直に事実を話して、告
訴しました。ところが警察は動いてくれないどころか、その告訴を改ざんしました。
そしてその後、家に告訴の取り下げにまでやって来ました。
　私たちは、いったい何回、警察に裏切られたことでしょう。警察がこんなふうに、
市民を平気で騙していいのでしょうか。私たち市民は自分たちを守ってくれる存在と
して、常に警察には一目置いて生活しています。その一般市民をなぜ平気で騙せるの
でしょうか。告訴を受けても捜査に動くどころか、改ざんするその理由が「面倒くさ
いから」「忙しいから」‥‥こんな警察でいいのでしょうか。
　娘が亡くなってからずっと、言いたかったこと、遺したメッセージを考えてきまし
た。それはこのようなことだと思っています。
　苦しい思いで「助けて」と駆け込んだ警察が、どうして何の機能も果たしてくれな
いの？　どうして動いてくれないの？と。その悔しさを思うと、残念でなりません。
その娘の悔しさを、私たちは引き継いで、控訴審を頑張っていきたいと思います。
　私だけではなく、誰が言っても相談に乗ってくれる、そんな警察になってほしい。
きょうはどうもありがとうございました。